データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

河川流域の生活文化(平成6年度)

2 調査結果の要約

 過去3か年の調査は、瀬戸内の島々、宇和海沿岸、県境山間部というように、ほぼ等質な地域を対象としたのに対して、今回は東・中・南予という地域的な広がりに加えて、最下流の臨海都市域から、最上流の山間地域までの多様な地域が含まれることから、「河川流域」としての全体的特色が過去の調査に比べると、やや不明瞭であった。

(1)地域に対する意識について

 ○ 地域に対するイメージは、「おだやか」「自然」のプラスのイメージが強い。昨年度までの「山間」「宇和海」「瀬戸
  内」の調査と比較すると、「自然」「美しい」がやや弱く、「豊かさ」「潤い」「便利」のイメージが強い。また、下流の
  臨海地域と上流の山間地域では、市町村間で大きなイメージの差異がある。
 ○ 地域のイメージを色に例えると、「緑色」「水色」「青色」が多いが、昨年度までの調査と比ベイメージの分散が見ら
  れ、「青色」よりも「水色」のイメージが強い。
 ○ 地域の人々の気質は、従来の調査で言われてきた東予・中予・南予の気質の差が昨年度までの調査に比べ、はっきりと見
  られた。
 ○ 地域活動への参加はおおむね熱心である。肱川流域の市町村では、「講・おこもり」の行事が現在も根強く残っている点
  に特色がある。
 ○ 近隣とのつきあいについて見ると、市町村別では、都市部及びその周辺では、「なにかにつけ相談したり助け合えるよう
  な付き合いが望ましい」という濃密な近隣関係を、あまり求めない傾向が見られる。
 ○ 住み良さ、地域の魅力、生活満足度は、昨年度までの「山間」「宇和海」「瀬戸内」と比較すると、かなり高い。地域の
  魅力を構成する要素としては、「自然の風景や名所」「人情」の割合が高く、逆に魅力のない要素としては、「経済的活力
  に欠ける」「生活が不便」が挙げられている。
 
(2)日常生活に対する意識について

 ○ くらし向きは、現在及び10年前については、「山間」「宇和海」と比べ、楽であったと感じている人が多いが、将来の
  くらし向きについては厳しい予想が目立つ。特に35~64歳の地域の中堅となる(年齢)層に、現在・将来のくらし向きに
  ついて、厳しい見方が目立つ。
 ○ 生活の満足度については、これまでの調査の中では、生活全般について最も指数が高い。これは、マイナスの数値ではあ
  るものの、「交通」「教育文化施設」「保健医療施設」等の満足度の指数が相対的に高いことによる。「自然」に対する満
  足度は逆にやや低いが、中山町、河辺村、肱川町等の山間地域では高い。
 ○ 将来の不安については、「高齢者世代の健康問題」が最上位であり、年齢層別に見ると、20~65歳にその不安が高く、
  65歳以上の層では逆に低い。
 ○ 親子の同居については、85%が肯定的な考え方であり、現実には55.2%の人が同居している。この同居率は、これまで
  の調査の中では一番高い。
 ○ 県や市町村に対する要望としては、社会福祉・老人対策が他の項目を大きく引き離して高い。「山間」「宇和海」と比較
  すると、地域開発や道路・交通対策よりも、生活環境の整備への要望が高いのが目立つ。
 
(3)個人の生き方・考え方

 ○ 個人の生き方・考え方については、これまでの「山間」「宇和海」「瀬戸内」の調査とほぼ同じで、伝統や慣習を重ん
  じ、家族の団らんと心の豊かさを大切にし、仕事熱心で堅実な考え方がうかがえる。ただ、これまでの調査と比較すると、
  都市部を中心に「父親が家事をすること」「物を買うには無難な物より個性的な買物をする」にいくぶん肯定的である。一
  方では、「女性は結婚後は家庭に専念すべきである」を、肯定する人が比較的多かったのは、「父親の家事」の肯定を考え
  ると矛盾する面もあり、今後の考察が必要である。

(4)生活実態

 ○ 購入活動については、食料品類は、一部の町村を除いてほぼ80%近く居住市町村内で購入(自給)されている。他の品
  目は、肱川流域は大洲市で、また周桑郡内の町村は東予市で、重信川流域の町村は松山市で購入することが多いようであ
  る。西条市は周辺市町村から独立した西条市のみでの商圏を形成している。一方、衣料品や貴金属等については、周辺地域
  を商圏としている大洲市や東予市でも、松山市の商圏に一部取り込まれているようである。