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河川流域の生活文化(平成6年度)

(1)豊秋河原に集う

 五十崎町の豊秋河原には、町指定天然記念物のエノキがそびえている(写真3-3-1参照)。樹齢およそ260年と言われるこの木は、藩政時代から続いている伝統の凧合戦を見続けてきたことであろう。「露天商人や香具師(こうぐし)などが集まり、活動写真、見せ物、軽業(かるわざ)興行などの呼びものもあり、たいそうなにぎわいであった。(①)」という牛馬市が農業の機械化や専業農家の減少等の理由で昭和43年(1968年)その役目を終えたことも覚えているだろう。また、8月14日に行われる恒例のかぐや姫祭りが河川改修工事に伴って川沿いの竹やぶが消えたのをきっかけとして始まったこと、毎月第2日曜日に開かれる日曜市が実はこのエノキを守ることが目的であったことも知っているだろう。その他、豊秋河原は、秋のいもたき、日本凧あげ大会など各種イベントの舞台でもあり、昔から人々の集まる場所であった。五十崎町は、小田川を取り巻く河川空間を町づくりの核ととらえ、昭和62年(1987年)7月「五十崎小田川はらっぱ基金条例」を制定した。この基金による事業の一つが川と人との交流促進である。ところで、このエノキは近年樹勢が衰え、地元の尾花吉光さんに治療を依頼したという記事が平成6年6月12日付の朝日新聞に載っていた。エノキは豊秋河原のシンボルなのである。


写真3-3-1 豊秋河原のエノキ

写真3-3-1 豊秋河原のエノキ

平成6年7月撮影