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身近な「地域のたからもの」発見-県民のための地域学入門-(平成22年度)

第2節 県民一人ひとりがつむぐ愛媛学

 現代社会は、少子高齢化や過疎化、国際化、グローバル化といった要因のほかに、インターネットなど通信手段の発達に象徴される情報化の進展にともない、大きく変容しつつあります。このような社会的背景のもと、県では今後、これまでの「愛媛学」の成果を受け継ぎながら、住民や市町が主体的に活動する地域学へと発展させた「ふるさと愛媛学」を普及推進することとしており、次の三つの活動を展開します。
 第一に、調査研究の手法を見直して、県民一人ひとりが地域学に取り組めるよう、「連携・協働」を重視した学習支援体制を作ります。県民が自ら暮らす地域の生活や文化、産業等を自主的に調査研究し、地域の特性を見つけたり再確認したりする学習機会を作ることによって、生涯学習や地域づくりに役立ててもらうことをねらいとしています。
 具体的には、住民と県や市町が一緒になって住民参加型の調査研究を実施します。そのために、実際の現地調査活動を通して、地域学に触れ、調査技法やまとめ方を学習する機会を設けます。さらに、調査研究の成果を県内各地で報告する「出前講座」を行って地域学の普及に努めるとともに、新たに高等学校等に出向いて、地域学のおもしろさを伝える「出前授業」を実施します。
 第二に、県内各地に根ざした生活や文化、産業等の記録や情報を、県民が共有し継承する「記憶」ととらえ、「えひめの記憶」と名付け、その蓄積と活用の推進を図ります。
 県では、これまでに行った調査研究の成果をまとめた報告書をデジタル化して、県生涯学習センターのホームページの「えひめ地域学百科(データベース)」のコーナーで公開しています。今後、このデータベースを基に、『愛媛県史』など県刊行物や市町村誌などをデジタル化してそれらの有効活用を促進し、資料検索の利便性を高めたデータベース「えひめの記憶」を新たに構築して公開します。
 このデータベース「えひめの記憶」の構築は、「ふるさと愛媛学」に関する様々な調査研究はもちろん、学校教育や生涯学習の場などでも、県民一人ひとりが地域学に親しみ、「愛媛らしさ」を学びあい、地域づくりの知識やヒントを得る「場」をインターネット上に創生しようとするものです。
 第三に、県内の博物館や図書館、学校、団体などとともに、「ふるさと愛媛学」を推進するためのネットワークをつくり、広げていきます。
 ネットワークの具体的な活動として、毎年、ふるさと愛媛に関する統一テーマを立て、それに基づく展示や講座等を県内の博物館や図書館等で行う共同企画(「『えひめの記憶』をみる・はなす・きく」)を実施することを計画しています。県民一人ひとりが、県内各地において同じテーマで地域のことを学習することにより、ふるさとに目を向ける気運を高め、愛媛らしさを深く知る機会を設けることが目的です。
 前節で、地域学が対象とする「地域」とは、小学校や中学校の校区であったり、市・町の範囲であったり、東予・中予・南予といった地方の範囲であったり、県の範囲であったりすると述べました。県民の皆さんと共に取り組もうとする地域学は、このような様々な範囲の地域を対象としています。県内では最近、「道後学」や「新居浜学」、「伊予市学」などの名称で地域学の活動が行われています。これらの地域学をゆるやかに包み込み、ネットワーク化を図るとともに、県内各地の地域学を発展させていくために支援を行うこともまた、「ふるさと愛媛学」の役割の一つと考えています。
 県では、これから、県内各地でそれぞれの地域学が展開され、県民の皆さん一人ひとりが、自ら暮らす地域の生活や文化、産業等を見つめ直し、地域の特性、すなわち「ふるさとらしさ」を発見、再確認する学習ができるよう、「ふるさと愛媛学」を普及推進します。ふるさと愛媛を総合的、体系的にとらえながら、「愛媛らしさ」を探究していく「ふるさと愛媛学」の活動を通して、私たち
一人ひとりが地域学をつむぎ、その成果を活かして地域づくりに取り組み、個性的で魅力的なふるさと愛媛をつくっていきましょう。