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県境山間部の生活文化(平成5年度)

1 本書のねらい・凡例

1 目 的
  この調査研究は、長い伝統を引き継いで、激動の昭和を生き抜いてきた人々のくらし-生活文化-に焦点を当て、そのくら
 しに学ぶとともに、ふるさと愛媛の優れた地域資源を掘り起こし、今後の愛媛の歩むべき方向を探ろうとするものである。ま
 た、県民誰でも参画でき、しかも人文・社会・自然の各分野が協力して総合的・学際的な調査研究を行う愛媛学の普及も併せ
 て目的としている。さらに、その成果は県下各地で行われている生涯学習において、広く活用するものである。

2 本年度のテーマ
  「県境山間部の生活文化」

3 テーマ設定の理由
  過去2か年度の「瀬戸内の島々」と「宇和海沿岸地域」との調査で海岸部を一巡したので、当初計画した5か年計画にし
 たがって、もう一方の県外との交流ルートであり、過疎化・高齢化の問題を抱えつつも独自の生活文化がいきづいている「県
 境山間部」を調査地域に選定した。

4 調査対象地域
  県境山間部を調査対象としたが、内容の深化を図るため、上浮穴郡内の町村、新宮村、城川町の3地域を中心に調査研究
 した。
    関係町村-新宮村、別子山村、久万町、面河村、美川村、柳谷村、小田町、広田村、野村町、城川町、
         三間町、広見町、松野町、日吉村等

5 調査研究の視点と特徴
  今回の調査の視点と特徴を箇条書すると、次のとおりである。
(1)県境の山間部において、昭和を生き抜いた人々のくらしに焦点を当てて調査研究した。時代的には昭和が中心で、人々
  のくらしに学ぶという視点から調査した。
(2)現地調査を重視し、生活者の生の声を大切にし、自分たちの足で稼いだ資料をもとにまとめるよう努力した。
(3)今回の調査の切り込み口として、「森林(山)・峠(交流)・人(山村)」を取り上げ、構造化を図った。
(4)既存の学問(地理学、歴史学、生物学等)の調査方法にとらわれないで、より総合的・学際的に調査しようと試みた。
(5)生涯学習の一環として、県民の皆さんがふるさとの地域調査に気軽に参加していただくために、「聞き取り-語り」を
  重視して取りまとめた。
(6)愛媛の生活文化についての調査は本年度で3年目になるので、これまでの調査地との比較を、特に、生活意識調査の中
  で積極的に試みた。

6 調査研究方法
(1)文献調査に偏らず、聞き取り調査や実踏調査などの現地調査を重視した。
(2)自然科学・人文科学・社会科学等の枠を超えて、学際的なアプローチをした。
(3)学識経験者のみならず、実際に地元で生活を営んでいる方々の協力を重視した。

7 協力者
(1)松友孟先生(愛媛県社会経済研究財団専務理事)には、愛媛学の基本的な考え方と、この調査についての全体的・総合
  的な指導をいただいた。
(2)横飛信昭先生(愛媛県生涯学習推進県民会議会長 愛媛大学教養部教授)には、調査の計画や方法及びまとめ方等につ
  いて指導をいただいた。
(3)昭和を生き抜いた人々のくらしの調査には、聞き取り調査や実踏調査等のため、約150人の方々に協力いただいた。
(4)写真で見る地域の変容の調査には、調査対象町村にその写真の提供等の協力をいただいた。
(5)生活意識調査には、上浮穴、小田、野村、三間、北宇和の各高等学校と新宮村、別子山村、面河村、美川村、柳谷村、
  広田村の各教育委員会に協力をいただいた。
(6)調査対象の各町村や教育委員会には、聞き取り対象者の選定や関係町村の資料の収集などの協力をいただいた。
(7)愛媛県高等学校教育研究会(社会部会、理科部会)には、現地調査の協力や企画立案にも貴重な意見をいただいた。

【凡 例】
 ① 本書は、平成5年6月から11月にかけて実施した現地調査を中心にまとめたものである。
 ② 聞き取り調査の対象者は、該当町村(教育委員会)の推薦をもとに、協議して選定したものである。
 ③ 本文については、常用漢字や現代仮名遣い、新送り仮名の使用を原則としたが、聞き取りや歴史用語・専門用語等につい
  ては例外とした。
 ④ 本文中の年代表記は、和暦に( )書きで西暦を示した。
 ⑤ 本文中の生物名は、原則としてカタカナで表示した。
 ⑥ 本文中の単位は、℃、%、kg等で表示した。
 ⑦ 地名は原則として、その当時の用例に従ったが、必要に応じ現在の地名を示した。
 ⑧ 参考文献等は、各節末にまとめて記載した。