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えひめ、昭和の街かど-生活を支えたあの店、あの仕事-(平成21年度)

(2)閉館、そして長浜高校水族館へ

 「私が勤めていた昭和50年代、水族館の模様替えなどはしませんでした。建物は老朽化しており、本館では雨漏りがしていました。そこで、水族館存続のために修理をお願いし、屋根を葺(ふ)き替えました。しかしその後10年もしないうちに閉館になりました。閉館した61年に私は水族館にはいませんでしたが、客が減り、設備の維持費や人件費を考えると存続できなくなったのです(昭和59年の入場者数は13,415人)。」
 閉館当時の長浜水族館の概要は次の通りである(長浜支所資料による)。

   〇 施  設・・・展示海水槽(1m×1m×1.8m)20槽、飼育海水プール(5m×15m×1.5m)2槽、
            鳥舎(2基)、猿舎(1基)
   〇 展示内容・・・魚類50種500点、鳥類1種5点、哺乳類1種1点の計52種506点
   〇 開館時間・・・午前8時30分から午後5時
   〇 開館期間・・・4月1日から11月30日(12月1日から3月31日までの冬季は閉館)
   〇 入 館 料・・・・大人100円、高校生60円、小中学生40円
       ※昭和10年開館当時は、淡水水槽20槽余、海水水槽30槽余が設置されていたという。

 「水族館を復活させようという計画はありました。海岸にある埋立地(現在多目的広場になっている。)に水族館をもってくる計画でしたが、予算の関係でだめになりました。水族館が閉館される前にできた計画だったように思います。閉館したとき、魚は全部海に放流したように思います。水族館閉館は、長浜の町にとってさみしいものでした。
 長浜に住んで50年余りになりますが、町はずいぶん寂(さび)れました。大洲と合併し、役場(長浜支所)の職員は3分の1くらいに減りました。昔は長浜の町に遊郭もありにぎやかだったそうですが、中心商店街である本町商店街でもつぶれる店が多くなりました。人の出入り(客)が少ないうえに後継者もなかなかおりません。うちの前のAコープも最近営業をやめました。長浜の人は、ちょっとした買い物のときは車で松山に行くようになりました。」
 長浜水族館は昭和61年3月に閉館したが、長浜町ではなんとか水族館を復活させたいという動きがみられた。その一つが長浜高校水族館である(写真2-2-7参照)。これは平成10年(1998年)に同校理科担当の**教諭が中心になって、学校内の空き教室に作られたもので、平成11年からは毎月第3土曜日に一般公開もされている。魚の世話は、同校の自然科学部の生徒たちが中心となって行っている。また、長浜高校水族館も含め、長浜町内に住む人たちが各々の店先や家の玄関先、部屋などの水槽で飼育している動植物を水族館に見立てて「長浜まちなみ水族館」が平成11年1月にオープンした。長浜の水族館の歴史は、県立長浜高等学校の生徒たちや地域住民の手により、脈々と受け継がれているのである。

写真2-2-7 長浜高校水族館

写真2-2-7 長浜高校水族館

大洲市長浜町。平成21年6月撮影