データベース『えひめの記憶』
えひめ、昭和の街かど-生活を支えたあの店、あの仕事-(平成21年度)
(3)木の温もりを伝える技②
(オ)仮組み
「できあがった側板を並べて仮輪(かりわ)という金属の輪にはめ込み、勾配や大きさ、つなぎ目の具合などを見て形を整え、のりを入れて接合させ、乾燥させます(写真1-1-19参照)。天気が良ければ4、5日で乾燥します。」
(カ)側板の調整
「乾燥が終わった側板の内と外を鉋で削り形を整えます。側板の内側は、丸く内側が削れる内丸鉋、側板の外側は外丸鉋で削ります(写真1-1-20参照)。」
(キ)底入れのガタ(溝)つけ
「側板の内側の下部に筋をつけて、ナイフでガタ(溝)をつけます。」
(ク)タガ(輪)がけ
「針金か銅線または竹で側板にタガをかけます。桶の種類によって針金、銅線、竹を使い分けますが、針金を使うことが多いです。桶の寸法を測り、針金をねじって輪を編みます。編んだ輪のしわの部分をたたいたり、引っ張ったりして形や長さを整え、編んだ輪を桶の底の方から木槌でたたいてかけていきます。桶は上が広いので、下からたたくとタガ(輪)が締まるのです(写真1-1-21参照)。」
(ケ)底入れ
「桶の底には、モミの板を使います。桶の底に合うようにモミの板を切り、木槌でたたきながら底を入れていきます。」
(コ)桶の足作り
「桶の種類によって足をつけますが、寿司はんぼなら『クリセン』という刃物を使って、3か所切り込みを入れて足をつくります(写真1-1-22参照)。」
(サ)こぐち削り
「桶の上と下のこぐち(周囲の先端部分)をこぐち鉋で削って整え、タガがけでできた跡などを水につけたタワシでこすって除けて、桶が完成します(写真1-1-23参照)。」
写真1-1-19 仮組み 宇和島市中央町。平成21年5月撮影 |
写真1-1-20 側板の調整 宇和島市中央町。平成21年5月撮影 |
写真1-1-21 タガ(輪)がけ 宇和島市中央町。平成21年5月撮影 |
写真1-1-22 桶の足作り 宇和島市中央町。平成21年5月撮影 |
写真1-1-23 桶の完成 宇和島市中央町。平成21年5月撮影 |