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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇おいしい漬物作り

 漬物作りにはポイントが幾つかあります。そこで今日は、わたしの気の付いたことを少しお話しさせていただきます。
 漬物も他の食品と同様に低塩化の傾向にあります。しかし、減塩をすると保存性が低下します。それを補うのが、酢や焼酎(しょうちゅう)などです。漬物の場合、塩100gに相当する保存性をほかの物で補うとすれば、アルコール度数が35度の焼酎ならば285ccが必要です。また、食酢だと300cc、日本酒ならば645ccが必要になります。即席漬けでは、使う塩の量は全体の3%から5%で、普通の漬物では8%から12%です。しかし、長期保存のためには、18%から20%の塩を要します。例えば梅干しなどは、これくらいの量の塩を使わないと保存が利きませんし、色もよくありません。
 漬物を漬けるときの押しぶたにつきましては、漬物容器より一回り小さくて平らな木製の物がいいです。重しの重量が平均にかかるためには、ふたと容器との間が開き過ぎても良くありません。古いふたを使用する時には、前に漬けた物の香りが移らないようにきれいに洗ってください。重しに関しても、平らな方が載せたときに安定します。重しは、大きさの大小を取り混ぜて使うと具合が良いと思います。材料を漬け込んでから、早く水を上げる(漬物の材料の水分を出させる)には、最初は重めの石が都合がいいです。しかし、水が出てからそのままにしておくと、今度はぺちゃんこになって、味もまずくなります。ですから、水が上がったら、重しは軽いものに替え、いつも押しぶたの上に少し水がある程度に重さを加減するようにしてください。
 野菜の種類と重しの重量との関係を申し上げますと、ハクサイのような葉菜類は、野菜の重量と同じ重さでしてください。キュウリ、ナスなどの花菜類は、1.5倍くらいの重さが必要です。根菜類、すなわちダイコン、カブのようなものは、2倍の重さがいいです。そして、漬け具合によって、先ほどもお話ししましたように、水が上がって適当なくらいで、重しはその場で少なくしてください。漬物をおいしくするには、手抜きをしてはいけません。心配りと手配りが大切です。
 また、旬(しゅん)の野菜を使うことも大切です。キュウリ、ナスなどは、若いものをちぎって色良く漬けてください。漬物の大敵はシロカビです。シロカビは、おいしい成分を消費して漬物をまずくさせます。さらにカビ臭くなり、風味も台なしになります。シロカビは、空気を好みますから、漬物や漬け汁が空気に触れないようにすることです。その方法は、落としぶたをして、いつも漬物の上に汁が上がっているようにすればいいと思います。