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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇「やまびこグループ」の活動

 わたしたちのやまびこグループは、昭和56年(1981年)に発足して、早くも18年になります。わたしが生活改善グループに参加するようになった動機は、活動の一環として手作りのおいしい料理をたくさん教えていただけるということでした。月に1回の料理講習会が待ち遠しくてたまりませんでした。講習会の回を重ねるごとにグループ員同士の気心も知れ、料理だけでは物足らず、子育ての話や家庭のことなど、いろいろな相談事の場ともなり、ストレスの解消ができました。活動に参加した後は、家に帰っても頑張らなきゃと思い、何をするにも手際よくできて、子供たちも「お母さん、今日は何か良いことがあったの。」と聞くくらいでした。家族にもおいしい手作りの料理で喜んでもらえるようになりました。そのうちに、料理の材料作りにも取り組もうと思い、共同菜園造りを始めました。指導員さんの下で丁寧に教えていただくとともに、野菜作りの講習会にも参加して、本格的に土作りから習い、なるべく農薬を使わない野菜作りに取り組んで参りました。秋にはタマネギの種をまき、春の収穫の後はジャガイモを植えました。多く収穫できたときには、朝市などで販売しました。楽しみながら働いて、しかもお金を頂けるなんて、とてもうれしかったですね。収益は、年に1度の研修大会や研修旅行、あるいは他の地域との交流会などの活動費に充てました。
 昭和57年(1982年)、伯方町内の生活改善グループが一堂に会し、それぞれの活動状況などを報告し合う伯方地区生活改善グループ連絡研究会において、「3・2・5・釣り運動」という、自給率を高める目標が掲げられました。この目標の「3」とは、広さが3aの畑に四季の野菜を植えましょうということです。同様に「2」とは、2aの果樹園に、ミカン以外の四季の果物を作りましょう。「5」とは、五つの加工品作りにグループで取り組みましょう。そして「釣り運動」とは、家族そろって釣りに行き、新鮮な魚を食べましょう、という意味です。特に釣り運動は、女性も釣りをして、伯方町の恵まれた海の資源を活用することで自給運動の一層の進展を図り、島ならではの生活をつくり出すことをねらいとしたものでした。
 そのころ、町の御協力により、餅(もち)つき器や回転釜を購入し、また真空パック用の機械を備えた加工品作りのための施設もできました。そこで、施設の活用を促進するねらいもあって、やまびこグループでは、1年間の活動計画を立てました。その一部を御紹介しますと、まず、春には野山に自生する竹の子やワラビ、フキなどを利用して「山菜ミックス漬け」などを作ります。今年(平成11年)の春は、フキがたくさん採れましたので、フキのつくだ煮も作りました。これは仕上がりも良く、おいしくできました。また、秋にはヒノカブの種をまき、お正月前には、取れたヒノカブで漬け物を作りました。ヒノカブは、何と言っても伯方の塩を使うと、まろやかな味が出てやんわりと漬け上がります。ヒノカブ漬けの赤い美しい色は、ダイダイの果汁を使わないと出ません。できた商品を販売していると、お客さんが、「この色は、色粉で染めたのですか。」と言って買おうとしないくらいです。「天然の色よ。ダイダイの汁を使っているので、体に良いのよ。」と説明すると買ってくださいます。
 また、わたしが住んでおります北浦地区では、1月の大寒に入りますと、その時期の水は1年の中でも最も良い水とされていますので、昔からその水を使って寒餅(かんもち)やあられ、大豆と塩を入れたかき餅、青のりと塩を入れたおふく餅、そしてひじき餅を作っています。最近では、それらを真空パックにして販売し、ふるさとの味として親しまれています。食欲のない時はあられを煎(い)って食べるとのど越しもよく、食も進みます。