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わがふるさとと愛媛学Ⅵ ~平成10年度 愛媛学セミナー集録~

◇あくなき挑戦

 これからの桜井漆器の展望ということに関しましては、今までは従来の生活食器から装飾漆器へといった変革を心がけてきたのですが、これからは来島(くるしま)大橋がつきますので、観光に向く商品で、おみやげとして買っていただけるような、低価格な商品も開発していかなければいけないということで、試作をしております。
 それと、漆器製品の購買層は、30歳代から60歳代までの方だと思いますが、20歳代や、最近は10歳代の方も見には来てくれますので、この人たちに、失望を与えない漆器づくりや、見に来てくれた時に、「漆器は、今はいらないけれども、いいなあ」と思って帰っていただけるような商品づくりが、私どもの永遠のテーマになるのではないかなと思っております。
 そして、その手始めの一つとして、去年(平成9年)、ガラスに漆を塗ってみたのです。従来、ガラスに漆はくっつきはするのですが、乾いたり水につけたりするとポロッとはげていました。それを、どのようにすれば塗れるか、くっついたものが離れないようにできるかということを、漆器研究の一番の先進地である石川県の試験場に問い合わせをし教えていただいた塗料を買って来て、漆を塗ったのですが、ものの見事にはげました。そこで、再度電話をして、その試験場で使っている塗料を売っていただき、それで塗りますと、ものの見事にくっつきまして、現在その塗料を使って漆を塗っております。これで、若い人にもアピールできる商品づくりが一つはできたなあと思っておりますが、これから先もこのようにいろいろ研究や勉強をして、若い人にアピールのできる商品づくりを工夫していかなければならないと考えています。