データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

わがふるさとと愛媛学Ⅵ ~平成10年度 愛媛学セミナー集録~

◇祭り運営の問題点

 このように祭りが盛んになってきますと、逆に次のような問題点がでてきています。まず一つは、鳥居の高さは2階だんじりの高さくらいしかありませんが、だんじりを構成する須弥檀(しゅみだん)が増えて、3階だんじりになり高さが高くなった結果、だんじりが鳥居をくぐれなくなったことです。「鳥居もくぐれずに、宮入り、宮出しするとはどういうことぞ。」と、だんじり総代の人からお叱(しか)りを受けるようなこともありまして、鳥居をなんとかしないといけないという問題が出ておりましたが、今年鳥居の改修工事をしまして、全部のだんじりが鳥居をくぐって、宮入りや宮出しができるようになりました。
 二つめには、だんじりが多くなったので、桜の馬場で全部のだんじりが自由な練りをするには、非常に狭くなったことです。中には、桜の馬場にはサクラの木がたくさん植わっており邪魔になるから切れというような意見も出ているのですが、桜の馬場でサクラの木がなくなったら、桜の馬場ではないというようなこともありますし、春の花見もしてもらわないといけないだろうということで、石岡神社の境内の自然環境も保存しながら、だんじりの運行も盛んに行えるよう環境づくりをしないといけないなと考えております。
 次に、女性みこしのことですが、これは今年の総代会で廃止が決まりました。なぜかといいますと、女の人がかつぐ小神輿は、運行のほとんどの部分である統一行動では男衆にお願いしてかいてもらって、女の人がかくのは、お旅所とか、桜の馬場といった一番いい所だけでしたので、「しんどいところだけ男がやって、ええとこを女に取られるのか。」というような苦情が出たり、多くのだんじりの中で、女の人だけを部分的に警備することは非常に難しいというような意見も出たり、また、女の人の人員がそろわなくなってきたというようなこともありましたので、廃止というような決定になったのです。
 さらに、桜の馬場の練りですが、最近、だんじりが中心になってしまって、神様(御神輿)が入って来ますと、「神様のいとけ(ほかへ移動しておけ)、まがるが(邪魔になる)」という発言も若い連中から出たりしました。しかし、祭り本来は、神様中心ですので、練りにおいても、御神輿を中心とした、だんじりの練りを考えなければいけないと思っています。