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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇古文書から見えてくる地域

 もう一人、吉田町内にユニークな方がおいでます。商売は下駄屋さんなのですが、いまではそれも暇になったので、古い家を壊すと聞くとそこへ出かけて行き、「これ、いらんかな。」と言って、ふすまなどをもらってきては、自分ではがして古文書を読んでおられます。
 皆さんも、街を歩かれて、古い家や土蔵が壊されているのを見かけられたら、ふすまとかに気をつけてみてください。完結した史料はなかなか出ませんけれども、古文書が残っている場合がよくあります。昔の紙はかなり強く、墨は水がかかっても大丈夫ですので、自分でもはがすことができます。古文書は、読み初めは苦労しながらも、「ああ、次が読めた。その次も読めた。」と進むのですが、そのうちある程度のレベルまでいくと、そこから解読技術の進歩があまりなくなります。ちょっとスランプに陥るのですね。幸い私は仲間にも恵まれて、それで今こういうふうに続けられている状態です。また、めったにしかないことなのですが、解読していて新しい事実に出会えることもあります。これも、古文書を読み続けていける大きな原動力の一つです。
 古文書を読むグループを作るにしても、一人、二人ではだめですね。やっぱり3人は欲しいです。昔からよく言われているように、分からない文字も3人寄ればなんとかなるということです。そして、無理なく少しづつ始めてみてはいかがですか。ぜひ、古文書に対する興味を持っていただきたいなと思います。