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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇さあ、椿の季節ですよ

 椿は小松町の町花ですが、県内では、松山市が薮椿(やぶつばき)を市花としております。日本全国では70以上の市町村が椿を市花、町花にしております。あんこ椿で有名な伊豆大島でも、椿が指定されています。そして伊豆大島では、椿サミットというものが開かれるのだそうです。いろいろな椿のことについて、全国から寄られた方が、いろいろなお話をされるのだそうです。
 さて、これから小松町のいたる所で、椿の花が咲き始めます。その小松町の代表的な椿をスライドで見てみることにしましょう。
 なお、このスライドの元の写真は、佐伯隆さんにお借りしました。では、お願いします。

写真1
 まず10月の西王母(せいおうぼ)です。西王母は、淡いピンク色に紅色のぼかしが入っており、中輪です。中央公園では、もうそろそろ咲き始めていることと思います。

写真2
 明石蓮(あかしれん)です。明石蓮は、仏心寺(ぶっしんじ)にあり、紅色です。樹齢200年以上の木で花は中輪です。10月から3月にかけて咲きます。

写真3
 有楽(うらく)です。淡いピンクの一重で小輪です。写真は、菅さんのお宅の樹齢60年がたった木に咲いた花です。花びらの先が、少し絞りのようになっています。この有楽というのは、千利休の門下で織田信長の弟である織田有楽斎が、お茶の花としてとても愛したことから、名前が付いたようです。

写真4
 小松姫(こまつひめ)です。小松姫は、ピンクで中輪です。町内にある原木を改良した固有品種だそうです。私も見たことないのですが、ある所も秘密ということです。

写真5
 白玉(しらたま)です。白玉は、この公民館のすぐお隣の本善(ほんぜん)寺にあります。樹齢100年以上、純白で中輪です。11月から4月に咲きます。生け花ではよくこの白玉が使われます。

写真6
 これが篤山椿(とくざんつばき)です。御存じの通り、近藤篤山(こんどうとくざん)邸にあります。純白で樹齢100年を越しております。これは3月中旬ころ満開になります。

写真7
 今は亡くなられました愛媛大学教授の石井南放(いしいなんぽう)さんの描いた、篤山椿です。絵に描いてもとても素晴らしいものです。

写真8
 これは、愛媛県下の名椿一覧表に出ております仏心寺の大城冠(だいじょうかん)です。白で八重の大輪です。

写真9
 先程の有楽がありました妙口の菅さんのお宅の、伊予紅(いよくれない)です。赤くて八重の大輪です。

 小松町周辺の名椿を見てみますと、まず、西条市の「五色八重散椿(ごしきやえちりつばき)」というのがあります。小松町では、先程の「大城冠」、「篤山椿」、「明石蓮」、「伊予紅」、「有楽」があります。お隣りの丹原町には「伊予大輪(いよたいりん)」、「侘助(わびすけ)」があります。東予市に行きますと、桑村の「石鎚(いしづち)」。これは東予地方では「日吉菊(ひよしぎく)」と呼ばれているそうですが、巨大輪といって、ものすごく大きな椿だそうです。実は、私の里にも、この日吉菊がありまして、長い間知らなかったのですけれども、つい最近になって知りました。その日吉菊を育てているおじいさんから頂いたそうなのです。三芳(みよし)には、「袖隠(そでかくし)」という白の八重の大輪の花があるそうです。
 このように、素晴らしい椿が周辺にたくさんありますし、紅色や濃いピンク色や白色の藪椿は小松を歩けばどこにでも咲いておりますので、冬の穏やかな日に、小松の昔ながらの道をそぞろ歩いて、椿巡りをしてみてはいかがでしょうか。
 でも、最後にお願いなのですが、あまりの可愛さに、枝をちょっと手折って持って帰らないで下さい。だんだん裸になって、椿がなくなってしまうのだそうです。
 それでは、また、どこか椿の咲く道でお会いしましょう。