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わがふるさとと愛媛学Ⅲ ~平成 7年度 愛媛学セミナー集録~

◇漂着物あれこれ③

写真11
 これはアオイガイです。カイダコとも言います。タコのメスが、こういうカラを作り、その中に卵を生むんです。太平洋側には比較的少ないのですが、愛媛の海岸はどうでしょうか。


写真12
 これは、オウムガイ。形がオウムのくちばしに似ているので、この名前があります。「生きている化石」といわれ、アンモナイトはその仲間です。フィリピンのルソン西岸が日本に一番近い生息地で、世界には4種ほど、主に南半球にいます。成長とともに部屋を作り、死ぬと、部屋に空気が入っているので浮き上がり、殻が漂着します。


写真13
 昔は、漂着した船で宗像大社のお社を作ったりしておりますが、こんな船が漂着すると、大変なことです。これは、マレーシアかどこかの船だったのですが、結局、ばく大な経費をかけて解体をしましたが、座礁した時に油が流れ出て、付近の漁業に大きな被害を与えました。


写真14
 これは海漂器と言って、中国向けに台湾が流したものです。この中に、台湾は自由があるとか、人々の生活が豊かであるとかいう宣伝ビラ(プロパガンダ)をたくさん入れているんです。そんなものが流れ着きます。政治も流れ着くのですね。


玉井
 私などは今まで経験のないような、貴重なお話をお聞かせくださいまして、石井先生、ありがとうございました。
 実は先日、私は、今回のこともございまして、玄界灘をほんの少しですけれども、歩いてみました。今日もスライドを見せていただきながら考えていたのですが、愛媛県内には、この玄界灘と同じような場所というのは、思い付かないんです。海岸線の風景からしますと、今治の志島が原をもっと大きく延長したような、そういうふうな景観を示しているところと言ったほうがいいのかもしれません。もちろん、玄界灘のほうが波は荒いわけですけれども。
 漂着物に関しましては、愛媛では、日振島の隣に沖の島という小さな無人島がありまして、そこには、黒潮にのってきた軽石やヤシの実などの漂着物が30年前に見られたのを思い出しました。
 全国の海岸線というのは、1万9000kmありますが、だんだんとこういう自然の海岸線というのは少なくなりまして、現在、島しょ部を除きますと、自然の海岸というのは45%程度で、半分以上は人工の海岸になっているというような状況です。そういう中で、やはり自然の海岸は、今後も残していかなければならないかと思います。
 もう一つ、地域でくらす人々の価値観ですが、以前と現代とでは大分異なっている部分もあるのではないかと思います。
 もともと人々は、それぞれの土地で生活する場合、たとえば、大根1本と鯛1匹というのは、同じ価値であったわけです。私たちは、どう考えても鯛1匹のほうが価値が高いだろうと思えますが、それは現代人の考えることであって、それぞれの土地で生活する人々にとっては、鯛1匹と大根1本が、等価交換されていたのです。これが地域における本来の生活姿勢だろうと思うんです。
 こういう海に生きる人々の生活姿勢というものが、自然の海岸だと見られると思うんです。それに関しましては、また後半のワークショップの部分で、御発表の先生方から、より具体的なお話をお聞かせ願えるのではないかと期待しています。
 対談講演は、一応これで締めさせていただきます。どうもありがとうございました。


写真11 アオイガイの漂流

写真11 アオイガイの漂流


写真12 はるばるフィリピンから流れ着いたオウムガイ

写真12 はるばるフィリピンから流れ着いたオウムガイ


写真13 船の漂着

写真13 船の漂着


写真14 台湾から中国に向けて流された海漂器

写真14 台湾から中国に向けて流された海漂器