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わがふるさとと愛媛学Ⅲ ~平成7年度 愛媛学セミナー集録~

◇黒潮と愛媛県

石井
 ただいま御紹介いただきました石井でございます。私は福岡県の宗像(むなかた)郡福間町というところからまいりました。皆さん方、宗像郡と言いましても、どこにあるか、御存じではないかと思いますが、私の家の近くに宗像大社という大きなお宮があります。ああ、あそこかと思われる、あるいは、実際に行かれた方もいらっしゃるかと思いますが、今日は、そこから伊予市に流れ着いて来ました。
 実はこの宗像というのは、伊予とも深い関係があります。越智郡の大三島に宗方(むなかた)という地名がありますが、ここは、宗像大社のお札が流れ着いたのが、地名になったと聞いております。そういう意味からすれば、私がここに来たのも、今、玉井先生が言われた海の道、それを通って来たのではないかと思います。
 宗像大社は、全国で6,017のお社があるわけです。そのうち一番多いのが広島県で、490社あります。福岡県が247社。愛媛県は12番目で、196社の宗像系のお宮があるということが、神社庁の資料に出ているわけですけれども、そういうふうに、玄界灘とこの愛媛県というのは、決して遠い所ではないということを感じます。
 プリントの方を用意しておりますので御覧ください。右の方に海流図が出ております。皆さん方御存じのように、フィリピンのほうから黒潮の本流が流れております。そして、奄美(あまみ)の北西方で二つに分かれて、太平洋側の方を黒潮本流、いわゆる日本海流が流れております。それからもう一方は、九州の西岸から対馬海峡を抜けて日本海側を流れています。これが、対馬暖流あるいは対馬海流です。
 愛媛は、黒潮の本流から分かれて、瀬戸内海から徳島の方に抜けて行くコースと、それからもう一つは、玄界の方から下関の海峡を通って入って来るのがあるのではないかと思います。玄界に比べれば、こちらは内海ですけれども、潮は流れていますので、今からお話しますような、いろいろな物が、南からの物も含めて、流れて来るのではないかと思います。