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わがふるさとと愛媛学Ⅲ ~平成 7年度 愛媛学セミナー集録~

◇文化財としての宝物

 宝物、いわゆる文化財には、二つの相反する目的があるんです。一つは、当然のことですが、今現在伝わっているものを、100年先、200年先、レジュメには1000年先と書いてございますが、とにかく未来永劫(えいごう)に国の宝として大切に保存をして、伝えていかなければいけないという義務があるわけです。そのためにはどうするのが一番いいかと言うと、電気を消した真っ暗な部屋の中に、じーっと保存していくのが一番いいわけです。
 けれども、文化財にはもう一つの使命がございます。それは、できるだけ多くの方に公開して、見ていただいて、皆さんの教養を高めていただくという役目です。そのためには、白日の元でなるたけ細部にいたるまで光を当てたほうが良く見えるんですが、それでは先ほどの保存という点では、一番悪い条件になる。
 そのために、その保存ということと公開ということの、どこでバランスを取って、どういう形で見ていただくかということにも苦心をしております。
 宝物、特に鎧(よろい)というのは染物が中心で、一番の大敵は、太陽光線、とくに紫外線です。ですから、現在御覧いただいております大山祇神社の宝物館では、展示ケースの中の蛍光灯は全部紫外線カットのもので、さらに紫外線よけのフィルムで巻いてございます。当然、こうすれば明かりの照度は落ちるわけですが、あえて照度を落としても、染物の色が退色(色褪(あ)せ)しないようにしているんです。
 また、宝物館の一部には、今、人の体温をセンサーが感じて、明かりがついたり消えたりする人感感知器というものを備えております。人が入っていない時には電気を消して、少しでも宝物の色の退色を防ぐために、そういうことをしているわけです。ともかくできる範囲で、いろいろな苦労をしております。