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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇なぜ『ふるさとの昭和史』を制作したか

 『ふるさとの昭和史』を作成した動機は、第一に私たちの東川(上浮穴郡美川村)という小集落が抱えている、過疎化・高齢化問題の急激な進行であった。具体的には、昭和31年(1956年)と現在を比べると、人口は1,163人から260人に、戸数は195戸から108戸に減少したほか、244人もいた小学校の児童がたった3人になったため、小学校は統合されて廃校になったという実情である。また、世代間の交流の面では、背反・断絶といった現象が顕著な形で現れ、「これは問題じゃないか。」と皆が感じていたのが、大きなポイントであった。
 第二の動機は、昭和という激動の時代が、(どこでも同じではあるが)小さな山村の一集落にどんな影響を与えたのかを、できるだけ詳しく調べてみようじゃないか、ということであった。当時の体験者が高齢化してしまい、「今をおいては、この時代を記録する作業はできない。もうタイムリミットだ。」という危機感のようなものもあった。