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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

□紙-いま・むかし(県外講師:野村 省三・県内講師:内田九州男)

内田
 皆さん、こんばんは。内田でございます。三島には何度か来ておりますので、顔なじみの方もおられるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。今から、野村先生と、和紙の話を対談という形で進めさせていただきたいと思っています。
 私自身は、和紙を研究しているという人間ではございません。大学に入学し、教養の間だけ理学部におりまして、専門課程から文学部に移りました。専門は日本史で、ちょうど20歳の時、大学の授業で、日本の伝統的な文書(もんじょ)を読んでいくという「古文書(こもんじょ)学」と出会いまして、初めて和紙に書かれた墨字というものに接しました。以来、今日まで28、29年近く文書を読んでいるわけです。したがいまして、和紙との付き合いは長いんですが、私たちは、もっぱら中身を読むことに重点がありまして、土台になっている和紙の研究というのは全くやっておりません。それで今日は、主に野村先生から和紙の話を聞かせていただくつもりでございます。
 それからもう1点、先程紹介がございましたが、私は、大阪城天守閣で学芸員という仕事を23年ほどやってまいりました。資料を解読して展示し、観客の方に見ていただくという仕事が中心なんですが、同時に、博物館には社会教育機関としての役割もございまして、地域の方々が、自分の家にある古文書が読めないとか、疑問に思ったことの解決等について援助を求めてこられますと、それに応じるという仕事もしておりました。ずいぶんたくさんの方と、その方自身の研究テーマについて話し合いをしたり、文献を紹介したり、調査方法をアドバイスしたりと、そういうことをやってまいりました。私は、これを博物館の学芸員の生涯学習に対する支援、協力と位置付けているわけですが、このような博物館の役割ということについても、野村先生の所(いの町紙の博物館)ではどういうふうになさっているか、特に和紙という問題を通じて、具体的にお聞きをしたいと思っております。