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わがふるさとと愛媛学   ~平成5年度 愛媛学セミナー集録~

3 「想い出の金子」発行(平成元年11月)

 方言集の発行で活動の機運が盛り上がり、次は何に取り組むかという話になると、お互いの子供のころから成長して大人の世界に入るまでの、生活・習慣・言語・教育・風俗・産業を含め、今までの話の中ででてきた思い出話等、内容別にまた行事別・月別に分類するのはどうだろうか。さらに子供のころのお菓子・遊び・遊び道具・祭りの時の店や宮の市、夜店の思い出等、話しあいは次々とふくらんでいった。そして全員でそれぞれの持ち分を決め、調査範囲を分担して取り組んだのである。整理の都合上、言葉に表せないもの(農作業など)は、絵や図にするなど表現法を工夫し、できるだけ具体的に説明するようにした。
 この時の会員数は23名で、平均年齢は77歳であった。「年寄りだけでようこんなもの作ったのう」と、完成した平成元年11月には、会員全員で77歳万歳と祝福したのである。この「想い出の金子」は今の日常の「くらしの小辞典」として大変重宝がられている。「私等は学者じゃないから理論だったことは言えないが、この金子の昔の事ならなんぼでも話しができる。これだけたくさんの話をしたことは今までになかったことじゃ」と、互いに喜びを表していた。さらに会員の皆さんから「これだけの記録をよう残してくれた」の一言で、私の苦労も報われたというものである。