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わがふるさとと愛媛学   ~平成5年度 愛媛学セミナー集録~

1 地域活性化に「水軍」をどう生かすか?

 水軍ふるさと会を作った私たちは、まず最初に、何をすれば町おこしにつながるかを考えた。
 当時、ディズニーランド、レオマワールド、オランダ村など、海外の様式を取り入れたリゾート計画が全国に進められていたが、私たちは、この地域にしかない、歴史、文化、産業を生かしたまちづくりをやるべきではないかと思った。しかもそれは自然破壊につながらないものでなければならない。
 400年前、能島、来島、因島の三島の村上水軍は瀬戸内海を舞台に活躍したが、宮窪町には、村上水軍の総大将武吉の本拠地であった能島がある。そこで、村上水軍にこだわりながら、町おこしを進めることにした。
 当時、NHKの大河ドラマで取り上げられた地域はどこも観光地として脚光を浴びていた。そこで、城山三郎の『秀吉と武吉』という小説を大河ドラマに取り上げてもらおうと、大島(吉海町、宮窪町)、伯方島(伯方町)、大三島(上浦町、大三島町)の5町の商工会の青年部が「NHK大河ドラマを呼ぶ会」を結成し、5年間活動した。
 ちょうど、平成2年に愛媛県で第5回国民文化祭が開催されることになり、島しょ部においても、「海のフェスティバル」が実施されることになった。ふるさと創生資金で、5町が水軍の「早船」を復元して水軍レースを実施すれば、村上水軍を全国にPRするいいチャンスだと思い、早船建造の会合を重ねた。結局話がまとまらず、宮窪町だけが早船2隻を作り、海のフェスティバルに参加した。
 平成3年、4年と、宮窪町単独で能島水軍レースを開催するうちに、徐々に機運が盛り上がり、念願の「5町共同主催の水軍レース」に向け、ついに第一歩が踏み出された。今年、吉海町と伯方町が水軍の早船を建造したことから、3町共同主催の第1回水軍レースが、宮窪町で7月に開催され、参加48チーム、選手は500人を越えるという、私たちの予想以上の素晴らしい大会になった。
 今年、テレビ愛媛が1時間番組を制作・放映してくれたが、来年以降も水軍レースを取り上げた番組を制作する予定であるとも聞いている。