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宇和海と生活文化(平成4年度)

(1)岬13里と三崎町

 ア 岬13里

 佐田岬半島は、延長約50km、最大幅6.2km、最狭部0.8kmの日本で一番細長い半島である。
 岬13里とは、「愛媛県史」によると、この細長い半島の道程を表す言葉である(④)。この半島のつけ根から先端まで直線距離で35km、道程で48kmある。つけ根とはどこかについては、バエの限界である喜木津から川之石を結ぶ線では、という考え方もあるが根拠になるものはない。また、愛媛新聞の記事の中に、三崎半島のつけ根にあたる保内町喜木という表現あるも定かではない(⑤)。13里とは、国語辞典によると、クリよりうまいの意でやきいもの異称ともあり(⑥)、今後の研究にゆだねたい。
 この半島の地質は、三波川(さんばがわ)変成帯に属していて、緑色片岩、黒色片岩で構成され、黒色片岩であるところは風化土も厚く、すべり破壊の傾向が強い。このため半島の交通は不便で長く陸の孤島、陸続きの孤島として取り残されていた。しかし、岬13里には、九州に向けて細長く突き出ている半島の姿から、何かに向かって指し示す、豊かなエネルギーを感じる。

 イ 三崎町の集落の分布

 この半島の先端に位置する三崎町には14の大字があり、三崎、高浦(たかうら)、佐田、大佐田(おおさだ)、井野浦、名取(なとり)は宇和海側に、串、与侈(よぼこり)、松、明神(みょうじん)、二名津(ふたなづ)、平磯(ひらいそ)、釜木(かまぎ)は伊予灘側にあって、岬13里の先端にある正野(しょうの)は両面に分かれている。宇和海に入りくんだ三崎、高浦、佐田、大佐田、井野浦の各集落及び、伊予灘側の二名津、明神を除いては、名取、与侈、松、平磯、釜木などは急斜面に密着して、狭い石だたみの階段状道路が集落の中に曲がりくねっている。そして、中心集落である三崎は、宇和海の荒波を防ぐ湾内にあり、古くから沿岸漁業基地として、また、国道九四フェリーの発着港、別府航路定期船の寄港、伊予鉄バスの発着駅でもあって半島の中心地である。