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宇和海と生活文化(平成4年度)

本書のねらい・凡例

1 目 的
  この調査研究は、永い伝統を引き継いで、激動の昭和を生き抜いてきた人々の生きざま-生活文化に焦点を当て、その生活
 文化と風土構造や精神構造との関連を見つめ直し、今後の愛媛の歩むべき方向を探るものである。また、県民誰でも参画で
 き、しかも人文・社会・自然の各分野が協力して総合的・学際的な調査研究を行う愛媛学の構築も併せて目的としている。さ
 らに、その成果は県下各地で行われている生涯学習において、広く活用するものである。

2 本年度のテーマ
  「宇和海と生活文化」

3 テーマ設定の理由
  この地域は、平成3年度の調査地(瀬戸内の島々)と関連が深いこと、愛媛の代表的な優れた生活文化が存在しているこ
 と、さらに観光開発・養殖漁業等多くの今日的な問題も抱えていることなどから、本年度の調査地域とした。

4 調査対象地域
  宇和海沿岸地域(15市町村)を調査対象地域としたが、内容の深化を図るため、佐田岬半島を中心に調査研究した。
   【調査対象市町村】
     宇和島市、八幡浜市、保内町、伊方町、瀬戸町、三崎町、三瓶町、明浜町、吉田町、津島町、内海村、御荘町、
     城辺町、一本松町、西海町

5 本書の構成
(1)昭和を生き抜いた人々のくらし
  ア 岬と湾のくらし
    農業と漁業、それを取り巻く自然の3つの観点から、佐田岬半島の岬端と湾奥のくらしを対比させて、その特色を学際
   的に明らかにする。
  イ 交通の発達とくらし
    交通の発達と地域生活の変容との関係を、昔の街道、岬端と湾奥の交通ルート、九州との文化交流、及び南予の玄関と
   しての八幡浜等の調査を通して明らかにする。
  ウ くらしの中に受け継がれた自然
    この地域の生活文化の特色を、自然伝承や食文化、及び地形とくらし等に焦点を当て、自然科学的な視点から明らかに
   する。
  エ 地域に尽くした人々とくらし
    この地域を代表する歴史的群像や職人の生活に焦点を当て、彼らの生き方や考え方が、今日の生活の中にどのように生
   きているかを明らかにする。
(2)宇和海沿岸地域の変容と生活意識
  ア 写真で見る地域の変容
    調査対象市町村の代表的な自然景観がどのように変容してきたか、昔(主に戦前)と現在との写真を対比して概観す
   る。
  イ 生活意識調査
    この地域の人々が生活についてどのような考え(意識)をもっているか、また、それがどのように変容してきているか
   を、前年度の調査も参考にして、この地域の特色を明らかにする。

6 研究方法
 ① 文献調査に偏らず、聞き取り調査や実踏調査等、現地調査を重視した。
 ② 人文、社会、自然の各分野が協力して、総合的・学際的なアプローチを試みた。
 ③ 郷土愛媛を研究対象とする地域研究であるので、学識経験者のみならず、多数の方々の協力を得て実施した。

7 協力者
(1)松友孟先生(愛媛県社会経済研究財団専務理事)には、愛媛学の基本的な考え方と、この調査についての全体的・総合的
  な指導をいただいた。
(2)横飛信昭先生(愛媛県生涯学習センター運営委員会会長 愛媛大学教養部教授)には、調査の計画や方法及びまとめ方等
  について指導をいただいた。
(3)昭和を生き抜いた人々のくらしの調査には、聞き取り調査や実踏調査に、約150人の方々の協力をいただいた。
(4)写真で見る地域の変容の調査には、調査対象市町村にその写真の提供等の協力をいただいた。
(5)生活意識調査には、八幡浜、川之石、三崎、三瓶、宇和、宇和島東、吉田、津島、南宇和の各高等学校に協力をいただい
  た。
(6)調査対象の各市町村や教育委員会には、聞き取り対象者の選定や関係市町村の資料の収集などの協力をいただいた。
(7)愛媛県高等学校教育研究会(社会部会、理科部会)には、現地調査の協力や企画立案にも貴重な意見をいただいた。

【凡 例】
 ① 本書は、平成4年7月から平成5年1月にかけて実施した現地調査を中心にまとめたものである。
 ② 聞き取り調査の対象者は、該当市町村(教育委員会)の推薦をもとに、協議して選定したものである。
 ③ 本文について、常用漢字や現代仮名づかい、新送り仮名の使用を原則としたが、聞き取りや歴史用語・専門用語等につい
  ては例外とした。
 ④ 本文中の年代表示は、和暦に( )書きで西暦を示した。
 ⑤ 本文中の生物名は、カタカナで表示した。
 ⑥ 本文中の単位は、℃、%、kg等で表示した。
 ⑦ 地名は原則として、その当時の用例に従ったが、必要に応じ現在の地名を示した。
 ⑧ 参考文献等は、各節末にまとめて記載した。