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愛媛学のすすめ

4 愛媛学と生涯学習との関係

 愛媛県生涯学習センターの特色の一つは、生涯学習のあり方やその方法等について調査研究する「生涯学習研究科」と、郷土愛媛について総合的に調査研究する「郷土研究科」という二つの研究組織を持っているところにある。
 地域学として、「○○学」といった講座が、他県の生涯学習センター等でも開講されている。しかし、多くはその地域の特徴を示すものを講座内容として、専門家による講義形式で実施されている場合が多い。当センターでも、当然のことながら、こうした専門家による地域に関する各種の講座(文学・歴史・地理等)を数多く開設している。しかし、こうした講座だけでは、住民を教育の対象として留め、学習の主体とすることに限界がある。
 生涯学習の進め方には、講義や講座等への受講を通しての「受容・理解」による学習とともに、自らが作品を作ったり調査研究したりする「表現・創造」による学習があげられる。とりわけ、郷土の研究には県民だれもが研究者としてかかわるべきものではないだろうか。
 当センターに郷土研究科が設けられた理由の一つには、後者による学習活動の推進を図ろうとの願いがあった。つまり、住民が地域研究の主体として生涯学習に取り組んで欲しいとの期待から、こうした研究組織が設けられたわけである。
 こうした考えのもとに、当センター自体が郷土愛媛のことについて調査研究する主体として、未開拓の分野にメスをいれ、具体的・直接的に地域調査を手掛け、その成果を県民に「愛媛とはどのようなものか」を知らせていく。その過程でより多くの県民(平成3年度約120名、平成4年度約150名)の方々の協力・参加を得て、誰でもできる地域調査の方法論等の開発を行っていくことになったのである。
 そして、県民だれもが、いつでも、どこでも、それぞれの地域について調査・研究をし、相互に情報交換をしながら、地域理解を深め、主体的に地域づくりに取り組んでいく、そうした知的風土の形成こそが、生涯学習そのものといえる。生涯学習の推進は、最終的には地域の教育的風土・知的土壌づくりにあるからである。