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愛媛学のすすめ

はじめに

 愛媛県生涯学習センターでは、あらゆる角度から総合的に郷土愛媛を研究し、本県の将来像を見つめようとする「愛媛学」の確立に向けて、県民の皆様が気軽に参加でき、一人でも多くの方々に関心をもっていただくため、「愛媛学のすすめ」を発刊することになりました。

 まずⅠでは、平成4年10月に開催しました「愛媛学シンポジウム」の内容を掲載しています。基調講演として、加藤秀俊先生(放送教育開発センター所長・愛媛県生活文化県政推進懇談会顧問)から、「生活文化の担い手たち」というテーマで、生活文化の担い手は150万県民の一人ひとりであるという視点に立った愛媛学の可能性についてお話いただきました。続いて、パネルディスカッションでは、県内外で地域研究に造詣の深い先生方をお招きして「愛媛学への提言」と題して、愛媛らしさの追求と庶民レベルの「愛媛学」の必要性と展望について語り合っていただきました。さらに、このシンポジウムに参加された方々から寄せられた「私の期待する愛媛学」もあわせて掲載しました。
 Ⅱでは、愛媛学の提唱者である松友孟先生(愛媛県社会経済研究財団専務理事)と「愛媛学シンポジウム」のコーディネーターをお願いした讃岐幸治先生(愛媛大学教育学部教授)による特別対談「愛媛学提唱者は語る」をとおして、愛媛の特性を規定する要因を「愛媛の形」に見出し、地理的歴史学の視点に立った「愛媛学」の構想を語っていただきました。
 Ⅲでは、他県の郷土学・地域学の現状として、それぞれ特色のある山形学、横浜学、宮城野地元学の各概要を掲載しました。「科学・学問」と「運動・活動」の両面を持っている山形学、ソーシャルムーブメントとしての横浜学、地域づくりの手法として地元を見直す宮城野地元学と多様であり、「愛媛学」構築のヒントをさぐることができると思います。
 そしてⅣでは、「これまでの愛媛学の取り組み」として、私ども愛媛県生涯学習センターの描いている、県民の県民による県民のための「愛媛学」に対する基本的な考え方をまとめてみました。

 広く県民の方々が主役となって、それぞれの立場・感性でこのすばらしい郷土愛媛について調べたり考えたりするきっかけとして、本書を御活用いただければ甚だ幸いです。

    平成5年3月
                                            愛媛県生涯学習センター