データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

えひめ、女性の生活誌(平成20年度)

(1)おもちゃ図書館

 ア おもちゃ図書館の活動

 「おもちゃ図書館の活動は、障害のある子どもさんが地域の子どもたちやボランティアの方とおもちゃで仲良く遊ぶ活動です。障害のある子どもさんが地域の中で安心して遊べたら、どんなにステキだろうかと思い、この活動を始めました。
 平成7年(1995年)の11月に新居浜市の民生委員さんや主婦、障害のある子どものお母さんら25人が市役所に集まってボランティアグループ『きしゃポッポ』を結成し、出発しました。
 最初に、おもちゃ図書館の全国組織の中四国地方の世話役をされている香川県の方に指導を受けに行きました。その方が『いいよ。』と言うことを一生懸命やりました。『これはうまくいかなかったわ。』ということはしませんでした。年度末まで準備して、手作りおもちゃを作ることから始めました。
 平成8年(1996年)4月に市総合福祉センター内におもちゃ図書館がオープンしました。それまでにおもちゃ図書館をいくつか見学していましたから、おもちゃ図書館を週1日だけ開いて、後はかぎを閉めるというのではもったいないと思っていました。この福祉センターが開館しているときは、毎日がんばって開ける。場所の提供は新居浜市、活動の運営は市民(ボランティア)だということを説明して、利用しているおかあさんにきれいに使ってもらうよう心がけました。
 そして毎月第2・第4土曜日に、ボランティアと障害のある子どもさん親子や地域の子どもが遊ぶ活動を始めました。ボランティアは毎週火曜日に集まります。第1火曜日は定例会、それ以外はおもちゃの手作りなど、できることを活動していました。
 また、幼稚園、小中学校、公民館、子ども対象のイベントなどにおもちゃを持って出かけていって、子どもと遊ぶ『移動おもちゃ図書館』も始めました。新居浜市内だけでなく、今年は西宇和郡伊方町の施設にも出かけています。
 平成12年(2000年)からは、環境教育に取り組み、『リサイクルマンと遊ぼう』という環境問題を考えるおもちゃを作って体験学習してもらう、出前講座のような活動も始めました。また平成13年(2001年)から、障害のある子どもさん親子と地域の人が和太鼓の練習に取り組みました。
 そのほか、1年に1回、市役所のロビーをお借りして1年間の活動の報告展をしています。会員さん以外に布(おもちゃ作りの材料)やおもちゃをくださる方、1口500円の賛助会員となって支援くださる方もいますので、その方々への報告をしています。また、新居浜西高等学校のインターアクトクラブや合唱部・吹奏楽部に協力していただいてクリスマス会をにぎやかにしています。
 おもちゃ図書館の全国研修会や中四国研修会の他、県や市のボランティア研修にも参加しています。」

 イ 活動を始めたきっかけ

 「私には障害児の子どもがいて、愛媛県の自閉症児親の会の事務局をしていました。その事務局にあてて、地域の中で障害児が安心して遊べるという全国おもちゃの図書館育成ハンドブック№1が送られてきたのです。『こんなステキな活動があるの。』と思っていたら、市役所から『総合福祉センターを作るので、市民が協力するのであれば、新居浜市は活動場所を提供しましょう。』という話が舞い込んできたのです。ハードは市が、ソフトは民間でという、今でいう協働だったのです。
 日本全国におもちゃ図書館はだいたい500館あるのですが、新居浜のような常設のおもちゃ図書館は少ないのです。市役所の担当者も子育て中の女性でしたから、『こんな場所があったらいいな。』と思って取り組んでくれたのだと思います。」

 ウ 手作りおもちゃ

 「おもちゃ図書館には、体を動かして遊ぶおもちゃ、音を聞いて遊ぶおもちゃ、子どもが楽しく遊べるものがいっぱいあります。ぬいぐるみやマジックテープでくっつくものとか、いろんなおもちゃを作っています。
 食べ物だったら、『お料理つくろう』というおもちゃもあります。冷蔵庫は男の方が廃材で作ってくれました。冷蔵庫に入っている食べ物でお料理を作る。ガスレンジや調理台も用意し、ままごとができるおもちゃです。
 『郵便ごっこ』のおもちゃは、平成11年度『幼児・障害児のための手作り絵本展』(ひょうご芸術文化センター主催)で優秀賞に輝きました。お便りを出して郵便屋さんが集めて、スタンプを押してタペストリー(つづれ織の壁掛けや机掛け)の郵便受けに配達するというおもちゃがセットになっています。
 平成16年(2004年)、松山市で行われた全国生涯学習フェスティバル『まなびピア』に出展した時、何人かの人から、『このおもちゃ、売っていないんですか。』『子どものお土産にほしい。』と言われましたが、『すみません。手作りなので売り物ではないんです。』とお答えしました。外国に行って私たちの活動を紹介した時も、『このおもちゃ、売ってください。』と言われたことがあります。『ディスプレー、オンリー。』って言ってお断りしました。」