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えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

(1)大阪航路から四国・九州間のフェリーへ

 ここでは、愛媛の海上交通のうち旅客航路を取り上げた。本来なら県内の様々な海運旅客業に携わる方々に広く取材を行ってまとめるべきであるが、すでに過去の調査で瀬戸内海航路は何度か取り上げており、また種々の制約から、陸上交通が近年まで未発達で、海運が人とモノの流れを支えてきた南予地方に焦点を絞り、その中でも最も古い歴史を持つ宇和島運輸株式会社を取り上げた。
 宇和島運輸(本社、宇和島市住吉(すみよし)町)は、愛媛県の八幡浜港(八幡浜市)・三崎(みさき)港(伊方(いかた)町)と、大分県の別府(べっぷ)港・臼杵(うすき)港を結ぶ四国-九州間のフェリー航路を運航している。宇和島運輸は宇和島に本社を構え、明治17年(1884年)に設立され120年を越える歴史を持ち、鉄道・道路交通が未発達であった戦前の南予地方の交通を支えてきた。特に宇和島から大阪を結ぶ「四国線」といわれる航路がその中心であった。戦後の陸上交通の発達とともに、かつての宇和島からの運送を一手に担った時代は終わりをつげたが、現在でも四国と九州をつなぐフェリー輸送を中心に海上交通の重要な一翼を担っている(図表1-2-2参照)。


図表1-2-2 宇和島運輸関係年表

図表1-2-2 宇和島運輸関係年表

『波涛百年 宇和島運輸株式会社小史(⑮)』及び同社ホームページから作成。