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えひめ、子どもたちの生活誌(平成18年度)

(4)四季折々のおやつ

 「戦後間もないころのおやつは、蒸かしたイモぐらいしかありませんでしたが、子どもは自然の中で四季折々のものをおやつ代わりに食べていました。1番よく食べたのはクワの実で、おいしかったです。愛宕山には当時桑畑が広がっており、秋になるとクワの実がたくさんできました。熟れたら紫色になるため、食べたら口の周りが紫色になりました。春は愛宕山の斜面にチガヤが生え、この根を掘りだして噛(か)むと甘い味がしました(甘根)。山の上の方に行くと野生のニッキ(肉桂)の木があり、根を掘り出して洗い、噛むとニッキの味がしました。6月には、山に生えているビワをとって食べました。小学校の先生の家に、当時は珍しかったサクランボの木があり、それをとって食べたこともありました。お願いしたらとらせてくれたと思うのですが、先生に言うことができず、黙ってとって逃げたことがあります。カキやナシは畑に植えているのを農家の目を盗んでとりましたが、一度にたくさんとったりはせず、一つちぎっては逃げるといった具合でした。矢野町にある税務署の裏庭に大きなイチジクの木があり、実が熟するころ、一個連隊で塀を乗り越えて入り、とって食べました。イチジクの木は、他の木に比べはすい(折れやすい)ため、登るのに気をつけました。イチジクの木の枝が折れ、落ちてけがをした話をよく聞きました。うちの畑にユスラウメ(英桃・梅桃)を何本か植えており、これが6月ころ実が熟して生食できました。お四国山には野イチゴもありました。」