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えひめ、その住まいとくらし(平成17年度)

第3節 うみべのくらし

 「船は金をもうけるが、家は金をもうけない」と漁業に携わる人たちから聞いたことがある。この言葉どおり漁村集落の立地は、山の迫った海岸に近い狭い場所が多く、そのため街路は狭く、家屋が肩を寄せあうように密集して建てられ、水も共同井戸などを利用していた所が少なくない。漁師の生活は水上(海上)が主であるため、庭や土間を広く取っていない場合が多い。
 本節では「うみべのくらし」について、県内の島しょ部や海に面した地域で生活してきた人々の、住まいとくらしについて明らかにしようと試みた。
 「1 斎灘(いつきなだ)・燧灘(ひうちなだ)の島のくらし」では、今治(いまばり)市関前岡村(せきぜんおかむら)、越智(おち)郡上島(かみじま)町弓削豊島(ゆげとよしま)での漁家の住まいやくらしへの思いを探り、また上島町生名(いきな)ではさまざまな職業を経験しながらも、海を趣味の場として生きてきた人の住まいやくらしへの思いを探った。
 「2 伊予灘(いよなだ)と忽那(くつな)諸島のくらし」では、伊予(いよ)市双海(ふたみ)町串(くし)で漁家の住まいと習俗について、また松山(まつやま)市では由利(ゆり)島と網(あみ)ノ浦(うら)でのいわし網漁期における季節的移住集落とくらしについて探った。
 「3 宇和海(うわかい)沿岸のくらし」では、八幡浜(やわたはま)市保内(ほない)町川之石(かわのいし)で網元の住まいとくらしについて、宇和島(うわじま)市蒋渕大島(こもぶちおおしま)では、住まいとくらしの中でも、特に水の確保についての苦労について、南宇和(みなみうわ)郡愛南(あいなん)町内泊(うちどまり)では防潮・防風石垣のあった住まいやくらしについて探った。


図表2-3-1 「うみべのくらし」で取り上げた調査地

図表2-3-1 「うみべのくらし」で取り上げた調査地