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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業18ー宇和島市②―(令和2年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第2章 九島の産業と人々のくらし

 九島は宇和島(うわじま)市の中心部から西に直線で約4㎞に位置する周囲約12㎞、面積約3.35㎢の島である。島は標高320mの鳥屋ヶ森の山頂を最高点とし、大部分は急峻(きゅうしゅん)な山地で平坦地が少なく、北西の季節風を避けるように島の南岸に本九島、百之浦、蛤の3集落がある。藩政時代、対岸の諸集落とともに九島浦を構成し、明治以降もそれが継承され、九島村として対岸の蕨、平浦、小池、小浜、石応、白浜、坂下津、保手、戎山の9集落と同一行政村を構成した。昭和9年(1934年)に宇和島市に合併されるとともに、対岸の集落との関係は希薄になり、宇和島市街地との交流が盛んになった。住民の生業は半農半漁であったが、現在は巻き網漁などの漁船漁業、ハマチ、マダイなどの養殖、柑橘(かんきつ)類の栽培が主要な産業となっている一方、宇和島市街地への通勤者も多い。宇和島市街地との交通は、長らく定期船が唯一の交通手段であったが、平成28年(2016年)4月に九島大橋が開通し、離島生活の不便が解消されている。
 本章では、九島で生活してきた人々の、地域の産業とともにあったくらしや思いについて、その一端を明らかにした。