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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業14-西予市②-(平成30年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第2節 災害からの復旧

 旧城川(しろかわ)町(現西予(せいよ)市)は県の南西部に位置し、西予市の東端に位置する山間地であり、町の北部と西部は旧野村(のむら)町(現西予市)、南部は旧日吉(ひよし)村及び旧広見(ひろみ)町(いずれも現鬼北(きほく)町)、東部は高知県に接する。町は周囲を400m~1,000mの山地に囲まれ、肱川の支流である黒瀬川が町内を南北に貫流している。気候は、山間部のため年較差が大きく湿度も高い。近年は温暖化の傾向にあるものの、冬は寒く北西の風が強く積雪もある。また、年間降水量は2,000mm以上で県内でも多雨地に属し、雨量は主として梅雨期と台風期に多く、時には災害をもたらすこともある。昭和51年(1976年)発行の『城川町誌』によれば、積雪は、普通の年で、1、2月中に2、3回ほどで積雪量も20~50cmであり、ときに1m以上の大雪となることがあっても根雪となることはなかったという。しかし、過去には異常気象として豪雪の記録もあり、昭和38年(1963年)1月のいわゆる三八豪雪はその代表的なものである。『城川町誌』は当時のことを「昭和37年(1962年)12月29日から連日吹雪となり(中略)雪は38年2月中頃まで毎日のように降り続き(中略)城川町内の積雪は1m~2mに達し、バスは約1か月間運休した(①)」と記しており、豪雪が町内の生活に深刻な影響をもたらしたことがうかがえる。また、同年の台風9号は旧城川町に集中豪雨をもたらしたが、『広報しろかわ』によると、野井川(のいがわ)、窪野(くぼの)、川津(かわづ)南などの山岳部の集落では、河川の氾濫、堰(せき)の決壊、橋の流失があり、崩壊箇所も大小無数にあったという(②)。
 本節では、昭和30年代、40年代を中心とする旧城川町における豪雪及び台風の被害や、それらの災害からの復旧について、Aさん(昭和9年生まれ)、Bさん(昭和13年生まれ)、Cさん(昭和13年生まれ)、Dさん(昭和16年生まれ)から話を聞いた。