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瀬戸内の島々の生活文化(平成3年度)

(2)地域の人々の気質と印象

 ア 島内版の結果より

 人々の気質についての結果(島内版)を町村別にクロス集計すると、全町村とも「ウ 温和、人情味」が最も多いものの各島(町村)間に差異が見られ、吉海、宮窪、魚島では「ア りこう、計算高い」が、また、伯方、弓削、生名、岩城、上浦、関前、中島では「イ 気がよい、物静か」がそれぞれ比較的多く、大三島では「ウ 温和、人情味」が圧倒的に多くなっている。さらに、「エ 豪放、調子よい」は全体的に低いものの、吉海、宮窪、魚島、弓削、中島では1割近くあり、特徴の一つと言える(図4-2-6参照)。
 『89県民性』によれば、東予・中予・南予の3地区の住民の気質の違いについて、東予では「りこうで目先がきき、よく働いて仕事を楽しむが、多少計算高い」が41%で最も多く、中予では「温和、人情味」が34%と最も多いものの「人ざわりがよく、気がよい人といわれ、物静かであるが少しちゃっかりしている」が26%で県内で最も高いことがあげられる。南予では「温和で人情味に富み、物事に慎重であるが、消極的である」が64%で圧倒的に多く、県内でも際立っている(図4-2-7参照)。
 このことから島々に暮らす人々の気質を一言でまとめると、中島を除いて地理的・行政的には東予に属するが、むしろ南予人気質と呼ばれるものに近いことがわかる。

 イ 島外版の結果より

 島の人々の印象を示す言葉について、それぞれの結果を加重平均し「人々の印象指数」を求めた。その結果、島外の人は「あたたかい、親しみやすい、粘り強い、明るい」などの好印象を持っている反面、「地味、後進的、野暮ったい、古めかしい」などのマイナス面も併せ持っていることが共通点としてあげられる(図4-2-8参照)。
 一方、「活気がある、親しみやすさ、開放的」の項目については、地域間で差が見られた。山陰、四国の人が「活気がない」と感じているのに対して、北海道、山陽、沖縄では、低いながらも「活気がある」という印象の方が強い。また、「島々」が身近な山陽、四国、沖縄では「親しみやすさ、開放的」指数が高いのに比べて、北海道、山陰ではあまり高くなかった。

 ウ 人々の印象・気質に見る地域の特質

 今回の結果からは、水軍やかつての漁師町から連想される気性の激しさは感じられない。
 「あたたかさ、明るさ、親しみやすさ」は、豊潤な瀬戸内の海と穏やかな気候風土の中で育まれものであろうし、「粘り強さ、地味さ、後進的、古めかしさ」は、陸から離れた場所での自然相手の生活によって培われ、身についたものであろう。
 地域のイメージの項で上位に占めていた特徴(美しい、穏やか、自然、明るい)が、人々の印象・気質の形成に大きく影響していることがわかる。

図4-2-6 気質(人々の印象)

図4-2-6 気質(人々の印象)


図4-2-7 三予人気質(『89県民性』の結果より)

図4-2-7 三予人気質(『89県民性』の結果より)


図4-2-8 島外からみた人々の印象

図4-2-8 島外からみた人々の印象