学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ M78星雲 ~ 本当にあった!ウルトラの星

年の瀬も押し迫り、何かとあわただしい時期です。大そうじに年賀状の準備、冬用のタイヤに替えて、年末の旅行の準備をして、などとしなければならないことを考えていたら、夜空を見上げる余裕なんてなくなってしまいそうです。でもこんな時こそ、たまにはゆっくりと星をながめるのもいいものです。
 明るく、きらびやかな星座が多い冬の夜空で、ひときわ目を引くのがオリオン座です。2つの一等星と5つの二等星が整った形に並び、その姿を見つけられる人の数では、おそらくナンバーワンの星座でしょう。ここにはもう一つナンバーワンの星があります。最も有名な星雲があるのです。それはM78星雲、通称「ウルトラの星」です。もちろん実際にここに光の国があるわけではありませんが、M78星雲は実在する天体なのです。
 勇者オリオンの右のわき腹にあたる場所にあるこの星雲は、残念ながら暗過ぎて肉眼では見えませんが、望遠鏡を使えば、とらえどころのないモヤっとした姿を見ることができます。これは散光(さんこう)星雲と呼ばれる天体の一つで、直径が30兆キロほどもある巨大なガスの塊が、その中にある星の光を受けて淡く光って見えるものです。
 30兆キロというだけで想像を絶する大きさですが、実はこれは淡く光っている部分だけの大きさで、実はその周囲には目に見えないガスがさらに大きく広がっています。あまりにガスが濃いために光さえ出てこられないこの暗黒の星雲の中では、今あちらこちらでそのガスを原料にして新しい星が生まれつつあります。遠い将来にはこのあたりにたくさんの明るい星が誕生し、オリオン座をいっそうにぎやかな星座にしてくれることでしょう。と言うことは、まだM78星雲の中には生まれたての星しかなく、地球のような惑星は存在していないのです。残念ながらここはウルトラマンの住めない星なのです。
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