学び舎えひめ<you遊コラム>

コラム写真

■ おうし座 ~ ヨーロッパは大神ゼウスの不倫相手

11月22日は二十四節気の一つ、小雪、12月7日は大雪です。字を見ているだけで、次第に季節が冬に向かっていることを実感させられますね。冬の星座と言えば、何と言ってもオリオン座が有名です。オリオン座が南東の空高くなる頃に頭の上にやってくるのが、星占いでおなじみのおうし座です。
 オリオン座の三ツ星を結んで右上へ伸ばすと、10個ほどの星がVの字を作っているところが見つかります。これはヒヤデスと呼ばれる星団で、牛の顔になります。この中で最も明るい星アルデバランが右目です。さらにそのまま右上へと視線を移すと、数個の暗い星が作る、ヒヤデスよりも小さな星団が見つかります。プレアデス、日本ではすばると呼ばれる星団です。これがおうしの背中になります。ヒヤデスの左上、オリオン座の頭のさらに上に見つかる星はエルナト(またはナト)、その意味は「突くもの」。その名の通り、これが左の角の先の星です。その少し下には、右の角の先の星も見えています。ヒヤデスの下に見えている星々が前足です。そうすると、まるで今にもオリオンに向かって突進しようとする牛の姿が見えてくるでしょう。
 しかし神話では両者は全く関係がありません。これは大神ゼウスが化けた姿であるとされています。ギリシャのオリンポス山から地中海を見ていたゼウスは、フェニキアの王女エウロパの美しさに目を奪われます。妻ヘラに見つからぬよう牛の姿に身を変えてエウロパに近づくと、その足元にうずくまりました。雪のように白く、やさしそうな目をした牛にすっかり気を許したエウロパは、その背中に乗ってみました。すると牛はいきなり走り出し、さらには海を泳いでギリシャ沖のクレタ島にたどり着きました。そこでゼウスは正体を明かし、後にエウロパとの間に3人の子供をもうけた、と伝えられています。その後クレタ島から見える陸地のことを、エウロパの名前にちなんでヨーロッパと呼ぶようになったと言われています。ゼウスの浮気がなかったら、今ごろは何と呼ばれていたでしょうか。
<<一覧に戻る