学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ 自然からのメッセージ その2 「身近なタヌキの暮らしぶり」

タヌキは里山を代表する動物のようによく言われますが、実は人里離れた山奥にも棲んでいるようです。それは、裏山から山奥まで痕跡が見つかることで分かります。タヌキの代表的な痕跡といえば「ため糞」。タヌキは決まったところで糞をする習性があり、自分の行動範囲内にそうしたトイレのようなものを幾つか持っています。そこに積み重なったいくつもの糞を、わたしたちはまとめて「ため糞」と呼んでいます。一箇所のため糞場を何頭かで共同で使う事もあり、そこでお互いに情報交換をしているのではないかといわれています。「お。花ちゃんは元気や」とか「あら。新顔が来とらい」などと言っているのでしょうか。
 本来タヌキは山で自然のものを食べて生活しており、季節に応じて、カエル、ヘビ、カニ、バッタなどの昆虫、果実、ドングリ、ミミズ、ネズミなど何でも食べます。仔どもを産み育てる巣穴は、大きな岩の隙間や木のうろなど。時にはアナグマの掘った古巣をちゃっかり利用することもあるようで、巣穴にはこだわりません。家族仲はとてもよく、父親も仔育てに一生懸命参加しますが、親子が一緒に暮らすのも半年ほどのことです。
 ちょうど今、秋から冬にかけてはタヌキの仔別れの時期にあたります。春に生まれた仔ダヌキたちが一人前になり、新しいすみかを求めて移動します。この時期に若いタヌキが交通事故に遭う確率が高いのは、移動に伴って道路を横断する機会が増えるためではないかといわれています。
 実際に野生のタヌキを見る機会は稀ですが、野生のタヌキの生活を垣間見る機会があったら、そっと見守ってやってください。わたしが鬼北の山でばったり出会ったタヌキは、想像以上にりりしくてかっこよかったですよ。
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