学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ シュワスマン・ワハマン彗星 ~ 今月、地球に大接近

風薫る季節を迎えました。例年になく冬の気温が低かったせいでしょうか、久万高原では今が春真っ盛りという感じです。山の木々を芽吹かせ、冬眠中の生き物たちを目覚めさせるのは、すべて太陽の力です。春の訪れを目にする時、太陽の恵みあふれる星に生まれた喜びを感じずにはいられません。太陽のエネルギーは、太陽系の他の天体にも降り注いでいます。その様子を目の当たりにできるのが彗星です。
 彗星の正体は直径数kmほどの雪の固まりです。それもきれいな雪ではなく、降ってから何日もたった道端の雪のように、ひどく汚れた雪の固まりです。太陽から遠いところでは凍りついていますが、太陽に近づくとその熱で蒸発し、氷の中に閉じ込められていたガスやチリが噴き出します。これが彗星独特のぼーっとした姿や、長く伸びた尾を作り出します。彗星の幻想的な姿が見られるのは、まさに太陽のおかげというわけです。
 彗星は一般に暗いものが多く、望遠鏡を使わないと見ることができません。明るくなるには3つの条件、①彗星本体が大きい ②太陽に接近する ③地球に接近する のうち少なくとも一つを満たさなくてはなりません。今月③を満たす彗星がやってきます。その名はシュワスマン・ワハマン彗星(長いのでSW彗星と呼ぶことにしましょう)。良く知られているように、彗星には発見した人の名前がつけられます。SW彗星は、1930年にドイツのアーノルド・シュワスマンさんとアルノ・ワハマンさんによって発見されたのでこの名があります。太陽の周りを5年余りの短い周期で回っているため、これまで何度も観測されていますが、今回はタイミング良くやってくるため、5月12日に地球に1200万kmまで接近するのです。このため、小型の双眼鏡でも見えるくらいまで明るくなると期待されています。
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