学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ 金星 ~ 一等星の百倍の光を放つ星

風薫る新緑の季節を迎えました。ツツジを愛でながら天文台へと向かう坂道では、春の間さえずりを聞かせてくれたウグイスに代わって、ハルゼミたちが大合唱で出迎えてくれるようになります(時には道の真中でひなたぼっこをするシマヘビも!)。山に生き物たちの息吹があふれる季節です。
 夜空の方は、逆ににぎやかだった冬の星座が西の地平線へと沈み、いつもならちょっとさびしく感じられる季節です。ところが今年は夕方の西の空に、たいへん明るい星があり、夜空をにぎやかにしています。これは金星です。すでに2月から低空にその姿を見せていましたが、少しずつ高度を上げ、これから7月中旬まで宵(よい)の明星として輝きます。
 金星は地球よりも太陽の近くを回って(公転して)います。その周期は7ヶ月半ほどですが、一年で太陽を回る地球から見ると、およそ1年8ヶ月ごとに太陽との位置関係が同じになります。昨年の金星は明けの明星として明け方の東の空に見えていましたので、早起きの人にしか観察の機会がありませんでした。今回は一昨年の秋以来の、夕空での観察の好機となります。
 金星が明るいのは、惑星の中で最も地球に近づくことに加え、全体が雲におおわれていて太陽の光を良く反射するためです。その明るさはマイナス4等と、一等星の百倍にも達します。すべての星の中で最も明るいため、夕方の空に見えている時には必ず「一番星」となりますし、月明かりや人工の照明がない夜には、その光で地上に影ができることもあります。また目のいい人なら、昼間青空の中に見つけることができるほどです。視力に自信のある方は、良く晴れた日にチャレンジしてみてはいかかでしょうか?
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