学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ おとめ座 ~ 季節ができた理由とは?

いよいよ春本番ですね。地球温暖化の影響なのでしょうか、今年の冬はほとんど雪も降らず、冬らしい寒さを感じることなく終わってしまいましたが、それでも春を迎えるのはうれしいものです。
 この時期の夜空では、西の空に冬の星座が、東の空には春の星座が見えています。明るい星の多い冬の星座と比べると、春の星座はちょっと地味ですが、それでもいくつか目立つ星があります。まず真東よりもやや北寄りの中天に輝くのが、春の星座で一番明るい星、うしかい座のアークトゥルスです。そしてニ番目に明るいのが、今回ご紹介するおとめ座の主星、スピカです。こちらは南東の空、アークトゥルスよりもやや低いところに見えています。おとめ座は星占いの十二星座の一つとして有名ですが、夜空におとめの姿を想像するのは、実は容易ではありません。スピカの他に明るい星が少ない上、非常に大きな星座だからです(全天88星座で2番目!)。それでも、「自分の誕生星座を見つけてみたい!」という方は、スピカが一番下になるような「y」の字を探してみてください。きっとその大きさに驚かれることでしょう。
 ギリシャ神話では、おとめ座は季節と農業を司る女神デーメテールの姿を描いたものとされます。昔デーメテールの恵みをいっぱいに受けていた頃、地上には一年中花が咲き乱れ、果物がたわわに実っていました。ある日、最愛の娘ペルセフォネーが地獄の王ハーデスに見初められ、地獄へとさらわれていってしまいました。季節の女神が泣き暮らすようになった地上は一年中が冬となり、動物も人間も食べるものがなくなってしまいました。そこで大神ゼウスがハーデスと交渉し、一年のうち9か月は地上の母親のそばで暮らせるように取り計らいました。残りの3か月、ペルセフォネーが地獄で過ごし、デーメテールが悲しみに暮れる時、地上に冬がやってくる、こうして季節ができたと伝えられています。寒い冬が終わり、生命あふれる春がやってくることを待ちわびた昔の人の気持ちが良く表れた物語ですね。
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